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2011年12月26日 (月)

【政策】90兆円予算のトリック

 平成24年度予算が閣議決定されました。すでに破綻している約束を、無理やり守ったかのように見せかけた90兆円予算には、看過できない手口が隠されています。

 この予算を組むにあたって、民主党政権は年金財源がついに見つけられず、年金積立金に手をつけることにしたのです。これは、年金の安心を揺るがす異常事態です。

 財源がなかったのは、基礎年金国庫負担の2分の1への引き上げに必要な2.6兆円です。基礎年金の国庫負担の引き上げは、年金を持続可能なものにするために平成16年度に決定され、平成21年度からは、36.5%と50%(2分の1)の間を埋める額(2.6兆円)を、特別会計の積立金や剰余金などからひねり出す努力が毎年続けられてきました。

 しかし民主党政権は、ついにその努力を放棄したのです。

 2.6兆円など簡単にひねり出せるはずの無駄削減はすっかり尻すぼみで、埋蔵金は早くも枯渇。各省出先機関の削減にも、年金制度改革にも手がつけられず、マニフェストになかった消費税を言い出す始末。ついに虎の子の年金積立金にも手を付けた、という訳です。

 それなのに、歳出の拡大ばかりが先行する民主党の予算編成、もうそろそろ限界でしょう。

 破綻した約束、とは、一般会計のうち国債費(借金の返済や利払い)等を除く、いわゆる「歳出の大枠」71兆円と、平成22年度の国債発行額の水準44兆円を上回らない、という中期財政フレームのこと。

 このフレームを守ったかのように見せかけたトリックは、国庫負担2分の1引き上げ財源2.6兆円を、「交付国債」で交付し、今年の予算に計上されないようにしたのです。

 交付国債については、原子力損害賠償支援機構に国が2兆円を交付する、というニュースでご記憶の方もいらっしゃるでしょう。これまでにも、世界銀行などの国際機関への出資金や、預金保険機構への特別資金援助などに交付されています。

 いわゆる赤字国債とちがって、交付された側が必要な時に現金化することができ、現金化されたときに初めて予算に計上される、というのが交付国債ですが、今回の場合は、厚生労働省が自由に現金化できる、ということにはならないでしょう。交付元も交付先も、同じ日本国政府なのですから、元締めたる財務省が認めなければ、現金化はできません。

 現金化を可能にするには、消費税引き上げしかない。消費税を引き上げなければ、年金の積立金はどんどん減ってゆく、そう言って、民主党政権は、消費税増税を煽っているのです。

 私たちの年金を人質にとってまで、消費税引き上げを迫るとは。
 野田総理はそんな卑怯な手を使ってまで、消費増税という功績を残したかったのでしょうか? それとも、日本の財政はそんなに危機的な状況にあるのでしょうか。

 もし仮に野田総理が功を焦ったのだとしたら、消費税に対して国民の理解など得られるはずもありません。逆にそんな手を使わなければならないほど危機的だ、というのであれば、ここは「もう限界」などとお茶を濁さず、その状況を国民に赤裸々に語るべきではないでしょうか。

 まず、今年の予算では約束が破綻している、という真実を正直に国民に説明するのです。そして、消費税引き上げがどれほど切迫した課題なのかを、自分の言葉で語る。危機なればこそ正面突破、それこそが総理として取るべき道でしょう。やはり野田総理には、国民に説明し、理解を得る努力が欠けている。

 私とて、財政の危機的な状況を懸念しているからこそ、総理にはご自分の言葉で語ってもらいたい。危機への共感があれば、日本人はきっと変わる、と私は思うのです。
 
 

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